郷土史研究会 特集記事

郷土の歴史を伝えるために

「伊達郷土史研究会」は、1962 年に福田喜一郎さん(初代会長)ら有志を中心に創立されました。郷土の歴史や文化を研究し、地域に伝えることを目的として活動しており、会創立から20 年後には伊達市内の町名にちなんだ歌碑の建立を進め、1989年に完成させました。また、1871年に開通し、当時の伊達移住団も協力したと言われる本願寺街道(現在の伊達市長和町から中山峠を経て札幌市平岸を結ぶ街道)の建設の功績をたたえ、起点を示す石碑の設置など、地域の歴史を形にする活動も続けています。

郷土史の継承と研究を続ける活動

伊達郷土史研究会では会員がそれぞれ研究した成果を『伊達の風土』という会誌にまとめ、毎年発行しています。40 年以上にわたり刊行され続けるこの会誌は、地域の歴史を記録する貴重な資料となっています。

また、札幌などから講師を招いて、一般の方も参加できる歴史講演会を開催しており、近年は洞爺湖町、豊浦町、壮瞥町など近隣地域の郷土史をテーマに学芸員の方々を講師としてお招きしています。今後は伊達市、室蘭市、登別市の学芸員の方々も講師としてお招きし、より幅広い視点から地域の歴史を学ぶ機会を提供していく予定です。

加えて、会員自身が研究した成果を発表する郷土史講座を、毎年秋に開催される「市民総合文化祭」の一環として実施されています。こちらも会員に限らず一般の方も参加可能ですのでぜひお気軽にご参加ください。他には会員向けの研修旅行も恒例行事のひとつで、ウポポイ(白老町)や、知里幸恵 銀のしずく記念館(登別市)などを訪れました。こうした活動を通じて郷土史への理解を深めています。

60周年記念事業と文化財保護功労賞

会の創立60周年記念事業として2022年に『伊達の風土を歩く』を発行しました。これは地域の文化財を紹介する冊子で、2019 年から3年間にわたって会員が地域を回って古くから住む方々への聞き取り調査を行って編集したもので、刊行した年の市内小学校5年生から中学生まで全員に配布され、以降、毎年新5年生に配布が続けられています。この取り組みが評価され、2024年には「第60回北海道文化財保護功労賞」を受賞しました。

これからの展望

現在、研究会として、郷土資料をより身近に閲覧できる環境の整備に取り組んでいくことを考えており、また、『伊達の風土を歩く』を活用して地域の文化財めぐりを企画し、市民に向けて歴史の魅力を発信していくことも検討しています。

郷土の歴史に興味がある方へ

伊達郷土史研究会では郷土の歴史や文化を学び、次世代へ伝えていくことを目的に活動を続けています。研究や発表に興味がある方、地域の歴史に関心を持っている方なら、年齢や性別を問わずどなたでも参加可能です。興味を持たれた方は、ぜひ一度活動に足を運んでみてください。  

この記事はLOLLUBAS2023(冊子版)に掲載された内容です。